たったひとりで、ドッグランをつくる男の物語
朝10時、千葉県松戸市・高塚新田。
初冬の光がまだ地面を浅くなでる頃、この何もない土地に、ひとりの男が更地を見つめて立っていた。一本のハンマーを手にする彼は、たった一人で“ドッグラン”の未来を見ていた。
私たち彼を知ったその瞬間から、この挑戦に密着することを決めた。これは一本の杭を打つところから始まる、長い物語の第一歩である。
取材陣が現地に着いてまず息をのんだのは、その敷地の圧倒的な広さだった。
交通量の多い大通りからほんの少し外れるだけで、景色は一変する。風が抜け、視界が開けた、静かな土地。
ここは、長いあいだ放置されていた農地。そして今、その再活用に挑むのはードッグランオーナー・牧野さん、ただひとり。
初めて出会った日、敷地はまだ真っさらな“余白”のままだった。
だが牧野さんは、そこに確かな未来の輪郭を見ていた。
あたかも、最初の線を引く前のキャンバスを前にした画家のようであった。
広大な土地に対して、たったひとり。その背中に宿る静かな決意は、敷地の広さ以上に、私たちの心を強く動かした。
この瞬間から、私たちは牧野さんの挑戦に密着することを決めた。
次回は、最初の作業である“芝生づくり”の工程。そこで直面する壁、苦悩、そして描いている理想のドッグランについて掘り下げていく。
